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「こんな環境で研修したい。」豊見城中央病院が研修医に人気な理由を探る

医学生による医師インタビューシリーズ。今回は、研修医からの人気も高い豊見城中央病院(沖縄県豊見城市)を取材しました。


リウマチ科・膠原病内科で医師として働きながら副研修管理委員長として研修医への指導にもあたる村山 知生先生にお話を伺ってきました。

社会人から医師へ、「もっと人のためになる仕事がしたい。」

ーー(学生)先生はもともと社会人として働いた後、医学部で勉強しなおし医師になられたということですが、なぜ医師になろうと思われたのでしょうか。

医師になる前は商社で働いていました。商社で働くようになったのも、「海外赴任先で工場などを作って現地の人のためになりたい。」という思いがあったからです。

商社での仕事も楽しかったのですが、「もっと直接人のためになる仕事がしたい。」と考えるようになりました。その当時、雑誌か何かで、「社会人になってからでも医師になれる。」というのを知り、もう一度頑張って勉強して医師になれば、患者さんのため、人のためになれる仕事ができると思いました。また、サイエンスの勉強は面白いし好きだったので、「それもいいな。」と思い医師になることに決めました。

27歳で会社を辞めて、28歳で大学の医学部に入学したのでそこから6年間勉強して34歳で初期研修をしました。


ーー(学生)初期研修で豊見城中央病院を選んだのには何か理由はありましたか。

長崎大学で医学を学んだ後、研修先を探すことになったのですが、その当時は「研修医はきっと休みがないだろうな。あっても、月に半日ぐらいだろう。」と思っていたので、休日にリフレシュできるような環境がいいと思い沖縄の研修プログラムを調べはじめました。


その中で、豊見城中央病院は初期研修の2年間でプライマリケアや救急診療の基礎をしっかり身につけることができるのと、見学したときの雰囲気が良かったのでここに決めました。

「患者さんと人生を共にする。」長期的スパンで考える治療方針

ーー(学生)先生はリウマチ科・膠原病内科を専門とされておりますが、この科の魅力はどんなところになりますか。また自分が病院実習で膠原病リウマチ科を回ったときの印象では、疾患の鑑別はすごく難しいという印象ですが臨床の現場では実際どうでしょうか。

膠原病リウマチ分野の面白いところは、単臓器疾患じゃないので、その臓器だけを診て話ができるわけではなく、全身を診る必要があるというところです。

鑑別については、「鑑別を丁寧に行う必要がある。」と言えます。鑑別は精度の問題で、9割、9割5分間違ってないというところまで突き詰めることもできますし、8割ぐらいで行うこともできます。しかしその差はとても大きく、その1割を突き詰めるためには多くの労力が必要となります。リウマチ性疾患の場合は、検査も確認の1つにすぎず、患者さんの話をたくさん聞き、診察も丁寧に行うことが大切です。

リウマチ性疾患の治療には免疫抑制やステロイドを使用しますが、その治療は健康な人間に元々ある外敵の病気と闘う力を落とすことにもなります。だからより間違いのない診断戦略が必要になります。​​​​​​​

「長いスパンで治療方針を考える。」患者さんの40年後、50年後を考えた治療戦略を練ることは難しいところですが、それが膠原病リウマチ科の面白いところだと言えます。

 例えば15歳で病気になった患者さんが、高校へ行って、大学行って、就職し「子ども産みたいんですけど」みたいな話になり、そのためには今後の治療をどうしたら良いかを患者さんと一緒に考える。そういう長いスパンで、患者さんの人生に付き合っていけるところもこの分野の魅力の一つです。


充実した研修プログラム、空いた時間には海へ、趣味も楽しめる沖縄での生活


ーー(学生)豊見城中央病院の魅力はどんなところだと思いますか。

当院は、各科の垣根が低くフットワークが良いので、相談がしやすい環境です。重症な患者さんがいたら、各科の力が結集していろんな知恵を出しながら治療に当たります。そういう患者さんのためになる治療ができるところが魅力です。


 また、コメディカルが優秀なので、コメディカルの力を借りながら診療できます。臨床心理士さんや専門看護師と一緒に診療できることは楽しく患者さんのためにもなっており、そこも良いところだと思います。



ーー(学生)個人的な質問で恐縮ですが、先生のご趣味って何ですか。

趣味はたくさんありますが、今はここ10年ぐらいウクレレをやっています。ハワイアンから普通のポップスだったり。 あとはロードバイク。通勤もそうなんですけど、ツールド沖縄に出たりしています。


 また年に1回は必ず山登りに行くことにしていて、槍ヶ岳とか穂高岳などの登山に行っています。


 沖縄らしいスポーツと言えば、今は子供が小さいのでなかなかできませんが、少し前まではスキューバダイビングもしていました。あと素潜りもします。沖縄だったら空いた時間にすぐできちゃうので。ちょっと潜りに行ったらカメに会えたりとか、結構あるんですよ。


 そういう意味ではすごく研修医の時も楽しかったです。ちょっと午後空いたらフィンとマスクと着替えだけ持って車で30分くらい行ったら「カメいた。やった!」みたいな。

ーー(学生)沖縄研修いいですね(笑)。魅力的ですね。

でしょ。ほら。海も近くて開放感があるし、沖縄は住むところとしてもとても良くて観光客が多いので、お店もたくさんあるしお薦めですよ。


ーー(学生)沖縄では、感染症が多いと聞いたことがあります。研修医時代に感染症の治療についてもしっかり学ぶことができるのでしょうか。

 感染症治療は研修医の先生が学ぶべき、大きな分野だと思います。その研修がしっかりしているのは、沖縄県全体の特徴です。例えばグラム染色を重視し、血液培養を含めた培養検査を適切に行うなどベースの部分もきちんと学びます。抗菌薬に関しても、広域抗菌薬にできるだけ頼らないで、適正な抗菌薬治療を行っています。


必ずしもできる研修医になる必要はない。


ーー(学生)先生は指導医としてどんなことに気をつけていらっしゃいますか。

 研修医の先生が学ぶ環境が良くなるようにプログラムを毎年改善しています。指導する時に意識していることは、内容を充実させて先生にできるだけ楽しく研修してもらうということと、研修後のフィードバックをきちんと行うことです。


 フィードバックは特に教育をする上で大切にしており、フィードバックの仕方も気を付けています。人間は、けなされるフィードバックをあまり受け入れることができないので、実際に良かったことと、「もうちょっとこうしたらさらに良くなるのにね」という話を同時にするように心がけています。

  当院に研修に来られている先生はやる気のある先生ばかりなので、やる気を無理やり出させるようなことは必要ありません。やる気はみんなそれぞれいろんな形で持ってるので、それに対してちょっと背中を押してあげることと、そのやる気を折らないようにしてあげることが大切だと思っています


ーー(学生)先生が考える「できる研修医の定義」と、「どんな人が研修医で伸びてのか」教えていただきたいです。

 そもそも「できる研修医を作りたいわけじゃない。」というのが一つあります。上級医から見て「できる研修医」とは、要領よく仕事をしてくれて、きちんと報告してくれる人だとおもいます。私も昔はそのように思っていましたが、「必ずしもそれだけが良い研修医ではない。」と最近はとても思っています。


 報・連・相ができないと医療事故や患者さんの不利益になってしまうので、報告、連絡、相談ができるというのは、最低限守って欲しいところですが、それ以外に関しては、成長のスピードは人によって様々なので研修医の時の成長だけで評価せずに、良い医師になる芽を摘まないようにと思っています。研修医のときにはいまいちでも、5年後10年後に立派な良い医師になった人はたくさんいます。


患者さんを元気にするために最大限の対応を心がける。

ーー(学生)日々の診療の中で、モチベーションをどのようにして保てばよいのでしょうか。​​​​​​​

 当院で働いて、恵まれているなと思うことの一つに研修医の先生や学生さんがいつも必ずいて、見学や実習に来てくれることがあります。


教えた先生や学生さんが成長する姿を見ながら仕事ができることは、自分のモチベーションを保つという意味でも、すごく大きな役割を果たしているような気がします。
また、仕事自体もモチベーションを失う理由があまりありません。だってこんなに人から「ありがとう」とか言われる職業って他にありますか。


 外来でも、疲れていて自分の対応がいまひとつみたいな外来をしてしまったりすると、やっぱりそうじゃないときとの差って、自分でもすごく分かります。診察の時の自分の笑顔が少しだけいつもより多かったりするだけで、患者さんが診察室を出ていくときの感じが全然違います。そういうことを自覚すると、あまりやる気を失いようがないと思います。患者さんを少しでも元気にしてあげられるような対応を自分が最大限したいと心がけています。


ーー(学生)学生のうちにしておけばよかったことや、しておいて良かったなと思うことはありますか。

 大学1年生の時に中国に一人で行ったことです。当時、お金がなくて船の片道切符を買い、天津(テンシン)っていうとこまで行きました。親には「どこ行くか分からないけど2週間ぐらいで帰る」と言って出かけたのですが、結局その後連絡したのは4週間後で。親にはこっぴどく怒られました。


 こんな旅はしなくてもよいのですが、一人で旅行に行くといろんな人としゃべります。いろんな人と話して交流を持つことが結局今に活きてるような気がします。


旅行に限らず、色んな人と交流する、そういう機会があれば、できるだけ参加する。そういうことが大切だと思います。色んな人の価値観や考え方を理解することが診療にも役立つので。

研修医の先生方の環境をより良くすることに力を入れていきたい

ーー(学生)先生の今後の抱負や目標をお聞かせください。

 リウマチ科、膠原病内科として地域の先生たちとタイアップしながら、この地域のリウマチ科、膠原病内科の診断をレベルアップしたいと思っています。その一環として後期研修の先生を育てたり、沖縄、当院で働く医師の方を増やしたりして地域に貢献したいと思っています。


 また当院で研修する先生にはより楽しく良い研修を送ってもらい、良い医師になっていただければ、それが日本の医療や社会に貢献でき、僕も一端を担ってると言えるのかなと思うので、研修医の先生にとって良い環境やプログラムを整えることに今後も力を入れていきたいと思います。




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